シニア向け分譲マンションでありがちなトラブル事例
シニア向け分譲マンションは、高齢者向けの設備やバリアフリー、他の入居者との交流の場が充実した施設です。そのため、第二の人生をいきいきと過ごしたい高齢者にとくにおすすめです。しかし、シニア向け分譲マンションならではのトラブルもあるので、入居を考えている場合は十分な情報収集と検討が大切です。
シニア向け分譲マンションとは
シニア向け分譲マンションは、民間事業者が提供する高齢者向けの分譲住宅で、主に自立した生活を送れる高齢者を対象としています。施設内はバリアフリー設計され、快適な老後を支えるために、カラオケやシアタールームなどの娯楽施設も整備されています。また、分譲マンションの購入により、住まなくなった際には相続や譲渡、賃貸として他人への貸出も可能です。
シニア向け分譲マンションの入居条件
入居条件は自立した高齢者であり、介護が必要な場合は外部の介護サービスを契約する必要があります。年齢制限は施設ごとに異なるため、事前確認が重要です。費用については、物件の立地やグレードにより数千万から数億円の価格帯で、毎月の管理費や修繕積立金、サービス利用料、固定資産税がかかります。介護サービスが必要な場合は、外部の介護サービスの費用も別途かかります。入居の費用は、住宅ローンを使った支払いも可能です。
他の高齢者向け施設との違い
シニア向け分譲マンションは購入型で高額な初期費用がかかり、アクティブな老後生活をサポートする娯楽施設が豊富です。分譲マンションに対し、サービス付き高齢者向け住宅は比較的安価な初期費用で、賃貸契約での利用が特徴です。また、介護が必要な場合は外部サービスを利用しなければならない点も異なります。
さらに、有料老人ホームとの違いもあります。シニア向け分譲マンションは自立した高齢者向けです。介護サービスは提供されませんが、娯楽やレクリエーション施設が充実しており、アクティブな生活をサポートします。一方、有料老人ホームは介護が必要な高齢者が生活できるように、医療や介護サービスを提供する施設です。
シニア向け分譲マンションで想定されるトラブル
シニア向け分譲マンションには、快適な生活環境を提供する一方で、いくつかのトラブルも発生しています。以下は代表的な事例です。
人間関係の悪化による孤立
まず、人間関係の悪化による孤立が問題となる可能性があります。ある高齢者は刺しゅうサークルに参加していましたが、サークルのメンバーから手芸物を譲ってほしいと頼まれました。しかし、断ったことで孤立を感じ、居室にこもるようになりました。上記のようなトラブルは、とくにシニア向けマンション内での人間関係に影響を及ぼします。
認知症を持つ入居者とのトラブル
つぎに、認知症を持つ居住者とのトラブルです。同じフロアに住む認知症のある居住者の行動が気になってしまう高齢者も少なくありません。賃貸なら引っ越しが可能ですが、分譲マンションでは容易に引っ越しができないため、どのように対処すべきか思案しなければいけません。上記のように、住環境におけるトラブルは、契約形態により解決が難しくなる場合があります。
サービスが受けられなくなる
また、サービスが受けられなくなった事例もあります。シニア向け分譲マンションに入居して生活支援サービスを受ける予定だった高齢者が、職員の人手不足によりサービスが提供されなくなるケースも残念ながら少なくありません。サービスの提供が予定通り行われない環境は、生活をしていく入居者にとって大きな問題となります。
シニア向け分譲マンションに住むのに向いている人の特徴
シニア向け分譲マンションに向いている方の特徴には、いくつかのポイントが挙げられます。
資金に余裕がある人
まず、資金面での余裕が重要です。シニア向け分譲マンションは、初期費用が高額です。購入費用に加えて、毎月の管理費、修繕積立金、生活費、固定資産税など、継続的な費用が発生します。高額な資金が必要になるので、入居から生活にかかる費用を負担できるだけの資金的な余裕がある方が向いています。また、入居後に予期せぬ支出が発生する可能性も考慮し、安定した経済状況を維持できる方が望ましいでしょう。
退去後のプランを考えられる人
つぎに、退去後の生活プランを考えられる方も、シニア向け分譲マンションに向いています。シニア向け分譲マンションを購入する場合、入居後の生活において、もしも退去せざるを得ない事態が発生した際にどのように対応するかを予め考えておく意識が大切です。退去後にマンションを貸し出したり売却したりする場合は、物件の価値を維持するために不動産管理会社と連絡を取っておくと良いです。シニア向け分譲マンションへの入居は、将来の不確実性を見越した生活プランを立てられる方に向いています。
健康に対する意識が高い人
さらに、健康に対する高い意識も大切な要素です。シニア向け分譲マンションは基本的に自立した生活を送れる高齢者を対象としており、入居後に介護が必要になった場合は外部のサービスを契約する必要があります。身体状況が悪化して退去をすすめられる可能性もあるため、普段から健康に気を配り、食事や運動に注意している方が向いています。健康状態が安定していれば、長期間自立して生活できる可能性が高く、シニア向け分譲マンションの環境にもスムーズに適応できるでしょう。
まとめ
シニア向け分譲マンションは、高齢者の自立した生活を支える快適な住環境を提供しますが、入居を検討する際にはトラブルの可能性も視野に入れた計画が大切です。人間関係の悪化や認知症を持つ居住者とのトラブル、サービスの提供不足などさまざまな問題の発生も考えられます。さまざまな状況に対応できるよう入居者は資金面での余裕や退去後の生活プラン、健康維持への意識が求められます。入居後のリスクを十分に考慮し、慎重に選択することで、より充実した老後生活が送れるでしょう。